海外留学の意義

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海外留学はキャリアアップに必要?

海外留学について、一度でも考えたことがある医師は多いのではないでしょうか。しかしながら、海外留学には条件や資格、費用が必要となるため、二の足を踏んでいる医師もいるかと思います。インターネットから必要な情報が手に入りやすい現在において、海外留学にはどのような意義があるのでしょうか。

海外留学には研究留学と臨床留学の2つがあり、それぞれ性質が異なります。研究留学は、大学院で博士号取得後5年以内に、医局に籍を残した状態で留学するパターンが多いです。若手医師がアメリカやヨーロッパに渡って、最先端の研究を行うイメージですね。一方、臨床留学のタイミングは様々で、早い人は初期臨床研修後に留学しますが、ある程度実力をつけてから、専門医取得後に留学するのが一般的です。留学先の医療機関に勤務しながらスキルアップを目指すため、臨床留学にはその国の医師免許が必要となります。カンファレンスなどで高い語学力も必要とされるため、研究留学よりもハードルは高いと言えるでしょう。

少し前までは、海外留学はキャリアアップに有利に働くと言われてきました。実際に、医局によっては「出世するには留学しないといけない」という暗黙のルールがあります。しかし、最近は若手医師の留学希望者が減ってきています。国内で研鑽を積んだ方が、効率的にキャリア形成が図れると考える医師が増えたように思います。

海外留学で得られるもの

海外留学には、言葉の壁や文化の違いといった厳しさがあります。経済的にも決して簡単ではないでしょう。それでも、海外で最先端の医療を直に学ぶことができるメリットは計り知れません。日本の医療の質は世界トップレベルですが、最新の医療技術の多くはアメリカやヨーロッパから生まれています。そうした医療の第一線に身を置くことは、知識や技術の習得だけでなく、医師としての大きな自信につながるでしょう。

また、海外留学では実践的な英語力やグローバルな目線が身につきます。国際学会で積極的にコミュニケーションをとったり、多様性を理解して受け入れる態度が備わったりと、単純な英語力以上のものが得られます。日本と海外の医療の違いを身をもって体感することで、自分の目指す医療の形が見えてくるかもしれません。海外留学で得られるものは人それぞれ違いますが、その経験は確実に自分の糧になるでしょう。

キャリアアドバイザー 太田