勤務医と開業医の収入

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開業医の収入は勤務医の2倍?

勤務医と開業医では働き方に様々な違いがありますが、収入も大きく異なります。勤務医と開業医で収入にどのような違いがあるのでしょうか。

厚生労働省の第21回医療経済実態調査によると、病院勤務医の平均年収は1488万円で、開業医(診療所所長)の平均年収は2749万円でした。このように、開業医の平均年収は勤務医に比べて約2倍と非常に高額です。病院長の平均年収は2500万円弱とされているので、開業することによって、病院でトップに上り詰めるよりも高収入を得ることも可能です。

開業医の支出

開業医の収入は勤務医より遥かに高額であることが分かりましたが、勤務医と開業医の収入を単純に比較することはできません。勤務医にはない支出やリスクが開業医にはあります。

クリニックを開業するには、初期投資として大きなお金が必要です。テナントに入居する場合はその関連費がかかり、土地・建物を購入する場合はより費用がかかります。内装工事費や医療機器・備品関連費、広告宣伝費なども必要となります。医師専用サイトMedPeerの調査では、自己資金のみで開業した医師は23%にとどまり、19%の医師が5000~7000万円の資金を調達しています。つまり、多くの開業医が収入から借金を返済していくことになります。

また、開業後の運転資金としてテナント家賃や人件費、リース料、水道光熱費などがかかります。病気や怪我で休業した場合の補償費用や、退職金相当の積立て費用も必要になるでしょう。このように、開業医には勤務医にない支出があるため、一概に開業した方が収入面で有利であるとは言えないのです。

高収入を見込める診療科

一般的に、内科系や眼科、小児科が高収入を見込め、自由診療をメインとする美容外科はさらに高収入が期待できると言われています。実際に美容外科クリニックの求人は高待遇なものが多く、勤務医としても高収入を狙いやすい診療科です。しかしながら、開業して経営がうまくいくかは別の問題であり、将来的なニーズや社会的重要性を十分考慮しなくてはなりません。

今後、重要性を増す診療科の一つに精神科があります。鬱病などの精神疾患の患者数は近年著しい増加を見せており、その潜在患者数は膨大な数に上ると予想されています。高齢化に伴う認知症患者の増加も見込まれ、精神科医は幅広い年代からますます必要とされるでしょう。

このようにニーズの高い診療科は存在しますが、これまでのキャリアと無関係な診療科で開業することは考えにくいでしょう。そのため、潜在患者が多いのに専門医が少ない地域にクリニックを構えるなど、診療科の枠に囚われずにニーズを汲み取ることが大切です。

キャリアアドバイザー 遠藤