不適切入試 全9大学で定員超過の特別措置

2019-01-15

文部科学省が医学部医学科のある全国81大学を調査した結果、9つの大学で「不適切な事案」があったと報告されました。不適切と認定された9校全てが、2019年春の入試で定員超過を認める特例措置を活用する方針を明らかにしています。超過を認める人数については、文部科学省と各大学で協議が進められています。

目次

9大学で不適切入試

東京医科大学が女子や多浪生らを不利に扱った不正入試問題を受けて、文部科学省は全国81大学に緊急調査を行い、その結果、9大学で不適切に入試が行われたことが明らかになりました。当初は大学側に自主的な公表を求めていた文部科学省ですが、受験生の利益を守るため、医学部医学科のある全大学に対して、訪問調査を含む緊急調査に踏み切りました。

文部科学省は、不適切な入試を以下のように定義しました。

①合否判定に際して、合理的な理由なく、特定の受験者を合格又は不合格とすること(合理的な理由なく、成績の順番を飛ばして合格又は不合格とすることも含む。)

②合否判定に際して、合理的な理由なく、性別、年齢、現役・浪人の別、出身地域、居住地域等という属性を理由として一律的に取扱いの差異を設けること

この基準に基づいて、東京医科大、昭和大、神戸大、岩手医科大、金沢医科大、福岡大、北里大、順天堂大、日本大の入試方法は不適切であると報告されました。

不適切とされたケース

それでは、具体的にどのようなケースが不適切な事案とされたのでしょうか。1つ目の定義である「特定受験者の優遇・成績順番飛ばし」関係では、同窓生子女の優先合格や、特定受験者の点数データ書き換えなどがありました。

2つ目の「属性を理由とした一律的な取扱いの差異」関係では、女子や多浪生が不利に扱われたり、地元出身者が優遇されたりといったケースがありました。

このほか、聖マリアンナ医科大学における一般入試が「不適切である可能性の高い事案」として取り上げられています。文部科学省の指摘では、3か年分の調査書等の点数化結果について、男・女と現役・浪人で最高点・最低点・平均点に大きな差がついており、性別や年齢等の属性により一律の取扱いの差異を設けていることが疑われる、としています。

医師需給への影響は?

文部科学省は、不適切入試によって追加合格者を出した大学が来年度の定員を超過することを認めています。追加合格による定員減のしわ寄せが受験生にいくことを避けるためです。また、文部科学省と大学側で超過を認める人数について協議が進められています。

この特例措置を不適切入試の全9大学が活用する見込みです。なお福岡大学については、今後追加合格を出す場合は特例措置を活用する、としています。

また、定員超過による医師の需給への影響については、「医療従事者の需給に関する検討会」において、厚生労働省から「一時的な定員超過については、2020年度以降に一定の期限を設けて需給調整を行うのであれば、中長期的な医師の需給への影響を及ぼさないと考えている」と説明されています。

キャリアアドバイザー 藤本