多様化する医師のキャリア

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キャリア選択の機会増加

やりたい仕事や、なりたい自分の姿から逆算してキャリアプランを立てることはとても大切です。医師に対して、免許取得後はレールが敷かれているようなイメージを抱く方もいますが、それは正しくありません。

かつては医局に入り、教授陣の意向に沿うことが一つのキャリアでしたが、ジェネラリストを育てたい厚労省の方針により、2004年に初期臨床研修が必修化して以降、医師のキャリアプランはより多様化しました。現在では初期研修先の選択、後期研修先の選択、その後の勤務先の選択といったように、医師のキャリア選択の機会は増加しました。

医師は1年目からの初期研修で、複数の診療科を回るローテート研修を受けます。必修科目(内科・救急・地域医療)と選択科目(麻酔科、産婦人科、小児科、外科、精神科など)を柔軟に設定し、多くの診療科を回ることができるようになったため、かえって自分の適性がわからない医師も出てきています。内科は例外ですが、多くの診療科は1~2カ月しか在籍しないため、適性を見極めるには期間が短く、診療科の選択が非常に難しいという状況です。

働き方の多様化

様々な業界において、契約社員や派遣社員、アルバイトなど、幅広い働き方が可能になってきています。医師も例外ではなく、特に女性医師が増えたことにより、結婚・出産のライフイベントに伴って働き方を変える人が増えています。

また、インターネットの普及によって、より簡単に求人にアプローチできるようになりました。医師向けの転職サイトや派遣会社を通じて、常勤・非常勤、アルバイト、スポットなど、希望に合わせた働き方を選ぶことができます。

多様な働き方が認められつつある現在では、仕事を選ぶ軸についてじっくりと考えることが大切です。収入や仕事のやりがい、ワークライフバランスなど、何が大切かは人それぞれです。大学の医学部ではキャリア教育を行わない傾向があるため、医師や医学部生は自分に向き合う時間を自発的に作る必要があるかもしれません。

キャリアアドバイザー 海野