がん罹患率に地域差 その理由は?
2019-01-21
2016年にスタートした全国がん登録。全国のがん患者のデータを一元管理する試みですが、厚生労働省はその集計結果を初めて公表しました。2016年に新たにがんと診断された患者の統計から、がん罹患率(がんにかかる割合)に地域差があることが明らかになりました。なぜ罹患率に地域差が生じるのでしょうか。
目次
全国がん登録とは
2016年施行のがん登録推進法に基づいて、全国がん登録制度が始まりましたが、以前の制度から何が変わったのでしょうか。
2016年以前は、がん患者のデータ収集の仕組みには、地域がん登録制度がありました。これは各自治体で診断されたがんのデータを都道府県が集める仕組みです。これとは別に院内がん登録制度があり、医療機関ごとに各都道府県にデータを提供していました。このように、都道府県ごとにデータを収集すると、居住地以外で診断を受けた人や、がんにかかってから他県に移動した人のデータが重複してしまう可能性がありました。
そこで、より正確ながんのデータを集めるために、全国がん登録制度が作られました。本制度では、全国どこの医療機関で診断を受けても、がん患者のデータは各都道府県のがん登録室に集められます。がん登録室で情報の整理、統合を行うため、データが重複することなく、国のデータベースでがんの情報管理ができるようになりました。また、対象となる医療機関が旧制度から大幅に増えたことも、データの正確性に寄与しています。
生活習慣とがん罹患率
今回、全国がん登録の集計結果が初めて発表されました。集計結果によると、2016年に新たにがんと診断された患者は年間延べ100万人近くに上り、部位別で最も多かったのは大腸で、胃、肺が続きます。
地域ごとのデータを見ると、部位ごとのがん罹患率に地域差があることがわかります。例えば、胃がんの罹患率は日本海側や東北地方で高く、肺がんは北海道や九州、四国で全国平均を超えています。地域差が生じる理由として、生活習慣の影響が指摘されており、食塩摂取量と胃がん罹患率、喫煙率と肺がん罹患率の関連が見て取れます。
また、肝炎ウイルス感染者が多い西日本で肝臓がんが多いなど、様々な原因が複合的に影響している可能性があります。国と都道府県には、地域ごとのデータを詳細に分析し、予防対策を強化することが期待されています。
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