地下鉄で高濃度のPM2.5 健康への影響と対策
2019-01-11
中国の大気汚染の影響で国内のPM2.5濃度の上昇が懸念されている中、地下鉄構内ではPM2.5が高い濃度に及んでいるとの調査結果を、慶應大学などの研究チームがまとめました。調査によると、地下鉄の駅構内におけるPM2.5濃度は、最大で地上の5倍に達するとのことです。地下鉄でPM2.5濃度が高い理由と健康への影響を考えます。
目次
通勤ラッシュでPM2.5濃度がピークに
PM2.5とは、大気中を浮遊する直径2.5マイクロメートル(1マイクロメートル=1ミリメートルの1000分の1)以下の極めて小さい粒子のことです。ちなみにPMは「Particulate Matter(粒子状物質)」の頭文字をとったもので、その成分は金属や化学物質、有機物など様々です。PM2.5の発生源としては、火山灰など自然由来のものや、工場や自動車の排気ガスなどが挙げられます。
本調査は慶應大学の奥田知明准教授らによって行われ、横浜市営地下鉄の協力のもと、駅のホームに計測装置が設置されました。PM2.5の計測は始発前の午前5時から午後8時まで行われました。
始発電車が走り始めてからPM2.5濃度は上昇し続け、通勤ラッシュの午前9時から午前10時の間にピークを迎えました。この1時間の平均濃度は地上に比べて約5倍に上りました。その後いったん濃度が下がったものの、帰宅ラッシュの時間帯で再び上昇しました。
地下鉄で高濃度の理由
この調査から、地下鉄におけるPM2.5の平均濃度がおよそ80マイクログラムであることがわかりました。この値は環境基準である1日平均値35マイクログラムの約2.3倍です。また、地下鉄ではPM2.5のほとんどが金属を含み、鉄、銅、マンガンの順に多かったことが報告されました。
それでは、なぜ地下鉄で高濃度のPM2.5が発生するのでしょうか。研究チームの分析では、車輪とレールの摩擦、ブレーキ部品の摩擦、パンタグラフと架線の摩擦が発生原因とみられています。発生したPM2.5は駅を通過する電車によって巻き上げられ、駅構内に広がっていきます。現在地下鉄に設置されている換気装置では、PM2.5を取り除くのに不十分であると考えられます。
健康への影響
PM2.5は粒子径が非常に小さいため、肺の奥深くまで入り込みやすく、ぜんそくや気管支炎といった呼吸器系・循環器系疾患のリスクを上昇させると言われています。
地下鉄におけるPM2.5対策に高性能マスクの着用があります。医療用や産業用の防じんマスクは粒子捕集効率の高いフィルターを使用しており、一定の吸入防止効果が期待されます。DS2(日本・厚生労働省)かN95(米国・NIOSH)の検定基準をクリアしたものがおすすめです。
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