女性医師のキャリア

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女性医師に不利な就業環境

全医師における女性医師の割合は年々増加しており、厚生労働省が平成28年に行った「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、女性医師は67493人と全医師の21.1%を占めています。なかでも産婦人科や小児科では20代の女性医師の割合が半数以上を占めており、この分野の医療が安定的に発展するためには、若手女性医師へのキャリアサポートが急務と言えます。

一般的に、女性の就業率は結婚・出産の時期に一旦低下し、育児が落ち着く時期に再び上昇するM字カーブを描きます。女性医師の就業率も同様にM字カーブを辿り、結婚や出産、育児などのライフイベントのために多くの女性医師が働くことを諦め、キャリアの中断を余儀なくされています。

女性の社会進出に伴い、職場の育児支援への関心は高まっていますが、家庭内における女性医師への負担はまだ大きいように思えます。職場と家庭の2つの側面から、女性医師のキャリア形成のための支援策を展開していく必要があります。

女性医師の働き方 ドイツの場合

日本における女性医師率は20%ですが、ドイツはその倍以上の45%が女性医師です。ドイツでは女性医師と男性医師で働き方に違いはありませんが、家事や育児の分担が徹底されており、育児休暇をとる男性は珍しくありません。中には、夫婦で代わりばんこに育児休暇を取る家庭もあります。

その他にも、ワークシェアリングやパートタイムの制度が充実しており、勤務時間や仕事量の調整がしやすくなっています。重要なのは、これらの制度を男女平等に活用できるという点です。男性、女性に関わらず、自分に合った働き方が選択できる環境が整備されています。

女性医師の働き方 スウェーデンの場合

続いて、女性医師率47%のスウェーデンの場合を見てみましょう。スウェーデンは女性医師率が高いことに加えて、医療の質も非常に高く、専門誌Lancetによる医療の質に関する調査では日本より上位にランクされています。スウェーデンの特長に、女性医師の就業率が30代、40代になっても上昇し続けることがあります。女性が結婚や出産を経ても、働き続けられる環境があるということですね。

女性が年齢に関係なく活躍できる要因として、充実した社会制度が挙げられます。例えば、スウェーデンでは夫婦合わせて480日の育児休暇が取得可能です。さらに、390日間は休暇前の所得の80%が補償され、残りの90日間は1日一律180クローナ(約2,200円)が支給されます。このように、世界トップクラスの社会制度があるので、女性が男性と同じように社会参画できています。

キャリアアドバイザー 相川